美しい歌声の人はたくさんいるけど、代わりのない歌声、っていうと、自分にとっては、この人かと思います。カルメン・コンソリ(Carmen Consoli)。誰??って言われそうですね。あんまり日本では知られていないかもしれません。イタリアでは、かなり有名な女性アーティストです。

カルメンの歌声の美しさがマックス感じられるのは、彼女を一躍有名にした「L’Ultimo Bacio」だと思っています。

邦訳された歌詞がないか、検索したのですが、見つからなかったので、サビの部分だけ、私なりに翻訳してみました。
(意訳過ぎて怒られそうですが・・・)

Di quei violini suonati dal vento
風の息吹にバイオリンが奏でられる
L’ultimo bacio, mia dolce bambina
最後のキスを、僕を甘く満たしてくれる愛しい君に
Brucia sul viso come gocce di limone
檸檬の滴が頬を流れるみたいに焼け付く痛み
L’eroico coraggio di un feroce addio
残酷なサヨナラのための精一杯の勇気
Ma sono lacrime
それは涙となって・・・
Mentre piove, piove
雨の間に、雨の中に・・・

一人称が男性系なのは、この曲が、ガブリエレ・ムッチーニ監督の同名の映画『最後のキス(L’Ultimo Bacio)』の主題歌で、その主人公の男性の気持ちを歌っているからです。
ストーリーはというと、29歳の主人公には妊娠中の美しい婚約者がいるのに、高校生の女の子と恋に落ちてしまう・・・というもので、ネットでの評価を見ると、「主人公がクソ過ぎる」とのことで、総じて低いですね 笑

でも、私は結構、これ好きで、30歳という年齢が、本当の意味で大人になるボーダーラインとして設定されています。それを目の前にして、自分がこれから背負うべき責任に向き合えず、大人になりきれない心情を描いていて、ダメだと分かっていても抗うことのできない恋に落ちる感覚が、切なくなります。

要するにこの曲は、若い恋人への思いを断ち切ろうとしている主人公の葛藤を表しています。純粋に恋愛感情に流されるわけにはいかない、大人としての責任をもって生きていく決意の苦しみです。

(歌詞の内容知って、共感できないわーって言う人も多いかもしれませんが・・・笑) 切ない詞とメロディー、カルメンの個性的で情熱的な歌声の美しさがとても感じられる一曲かと思います。